
胸やけを感じたことがないという方はまれでしょう。
中には慢性的に胸やけを感じているという方もいるのでは?
そんな胸やけですが長期間放置すると大きな病気に罹るリスクも高まり、命を落とすような病気に発展することもあるので要注意なのです。
いま「ドキッ」としたあなたにも胸やけの原因・予防・対策などをすべて満載してご紹介します。
目次
胸やけの症状
胸やけは成人の4割の人に経験があるとされ、ポピュラーな症状と言っていいでしょう。
その症状とは、みぞおちから胸にかけて、もしくは喉元までも襲う、あのチリチリとした灼熱感です。
その原因とは様々で、最近では新しい胸やけのタイプがあるとも報告されています。
胸やけは英語で、英語で「hurt burn」と呼ばれ、「胸」と「心臓」と少し違いますが、みぞおちより上のあたりが焼けるような灼熱感があるということでは一致しているようです。
胃の不快感
胃のもたれ、不快感と胸やけは全く違います。
確かに胸やけは胃からの胃酸の逆流から引き起こされるものなので、胃に対するアプローチをしてしまいがちですが、まったくメカニズムが違うのです。
1、胃のもたれ
これは胃に消化されないものが残っている状態です。
症状としては、胃がもたれたり、鈍痛を感じたり、むかつく、といった症状、胃の不快感として感じられるものです。
これらは胃の機能の低下が主な原因で、胃酸が出にくくなり、摂った食べ物が、いつまでも胃の中に残ってしまうことなどが主な原因として挙げられます。
原因としてはやはり、アルコールの摂りすぎ、暴飲暴食などが挙げられます。
そのような生活習慣が繰り返されたり、長期間続いてしまうと、胃も疲れてしまうのです。
常に働いている状態の胃は、胃酸が出にくくなり、胃は摂ったものを消化しきれなくなってしまうのです。
そして上記のような症状として現れてきます。
2、胸やけ
胸やけは胃のもたれとは全くちがうメカニズムなのです。
胃の機能低下によって消化ができにくくなることとは反対に、胃酸の分泌が多すぎ、それが食道に逆流することから引き起こされるのです。
これも暴飲暴食やアルコールの摂りすぎなどの生活習慣から招かれますが、けれど原因となるのはそれだけではないのです。
以下で一緒にみていきましょう。
胸やけの原因
1、食べすぎや飲みすぎ
やはり、1番の原因としてあげられるのは、食生活などの不摂生です。アルコールの摂りすぎなどももちろん原因となります。
そういった食生活の不摂生は胃酸を多く出しすぎる、胃酸過多を招いてしまいます。
またアルコールを飲む場でも日常においても、脂肪分を含んだ食事はおいしく感じられるものです。
人間には脂肪分を「うまみ」として感じられるようになっていることが多いためです。
でもそれらの脂肪分、脂肪を含んだ食事はやはり、胃を刺激し、胃酸を出しやすくしてしまいます。
そしてオレンジや、グレープフルーツも、胸やけを感じるときには摂らないでください。
たまに食べたくなる「激辛」などというラーメンも休みましょう。
香辛料も胃酸を過剰に分泌させるのです。
たばこも控えめにし、なるべく炭酸飲料も摂らないようにしましょう。
2、加齢や肥満からも
年齢を重ねるとともに、筋力は弱ってきてしまいがちですよね。
それは食道の筋肉にも言えることなのです。
食道のほとんどは薄い筋膜で形成されています。
そのためその部分の筋力の衰えは胃と食道の間の筋力も弱らせるため、胃酸は食道に逆流しやすくなってしまうのです。
また肥満によってその筋力が衰えることもあります。
そしてその上、腹圧がかかりやすくなりますから、なおさら胃酸は逆流しやすくなってしまいます。
3、前かがみの姿勢
胃の筋力も弱り、食道の筋肉も弱った状態の時、食後に前かがみになった時「うっ」
と感じたことがある方も多いはずです。
それはもちろん胃や食道の筋力が弱っているせいもありますが、単純に重力の問題とも言っていいのです。
つまり前かがみの姿勢をとることにより、胃と食道がさかさまになるからです。
食後すぐには、前かがみの姿勢は避けましょう。
4、寝る直前の食事
どうしてもお仕事関係などで帰りが遅くなり、食事が寝る直前となることが多い方もいらっしゃると思います。
けれどそれも胸やけの原因となりがちです。
寝るという姿勢をとるということは、身体を横にすることです。
胃酸の分泌が激しい時に横になれば、当然胃酸が食道に上りやすくなってしまうのです。
さきにも言った柑橘系のフルーツを食後に召し上がる方も多くいらっしゃると思いますが、それもさらに胸やけを促進させる原因となってしまいます。
5、ストレス
ストレスを受けると人は攻撃態勢に身体を作ろうと働くため、自律神経が乱れがちになります。
すると胃や十二指腸が過剰に働き、胃酸を多く分泌させようとします。
そんなストレスも胸やけをする人は要注意です。
6、ピロリ菌
このピロリ菌については、すべてが明らかになっていません。
様々なメカニズムが複雑に絡んでいるとされています。
ですが、ピロリ菌は胸やけから胃潰瘍へと発展させることも分かっています。
そしてピロリ菌は胃の酸性の中に住み着き、アンモニアを出し続けます。
それが胃の粘膜を傷つけるのです。それが第一に胸やけの原因となります。
また直接胃から分泌される消化酵素や胃酸が胃の粘膜を攻撃し続けることで、胃潰瘍へと発展するとも言われているのです。
胸やけと関係の深い疾患
1、慢性胃炎
乱れた食生活、ストレス、ピロリ菌への感染から発生するとされています。
これはそれらによって引き起こされる、慢性的な胃酸過多から粘膜が常に冒され、炎症を起こしていると考えられるのです。
胸やけをはじめとして、胃痛や胃もたれ、膨満感、げっぷや吐き気も伴います。
これらが慢性的に続いてしまった場合、胃潰瘍へと進行することもあるので要注意です。
2、胃潰瘍
胃潰瘍の痛みは相当なものだと言われています。
症状は、みぞおちたりの重いずきずきとした痛みです。
また胃潰瘍は胃の中に入った食物を消化しようとするときから症状が出ることが多く、食事のさなかに起きることも特徴の一つです。
そのほかに胃もたれや胸やけを伴うので、思い当たる方は受診をぜひおすすめします。
またこの胃潰瘍は非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド薬から引き起こされることも非常に多く、安易に薬を選べないことからも受診は必須です。
3、十二指腸潰瘍
これも非ステロイド性消炎鎮痛剤、ステロイド薬や、ピロリ菌、ストレスからのメカニズムによって、胃が胃酸過多になり、それらが複合して粘膜を傷つけたり、消化するために分泌される、消化酵素、胃酸がさらに十二指腸の粘膜を傷つけることから発症する疾患です。
1、朝感じる胸やけは?
アルコールの摂りすぎ、乱れた食生活、不規則な生活リズム・・・確かに陥りやすい生活スタイルでもあります。
けれどそれらは胸やけを引き起こしてしまいます。
特に朝、胸やけを感じる場合、夜間の胃の中に何も入っていない状態の時に、ストレスなどから分泌される、胃酸が多く出すぎているのかもしれません。
そのように寝る前の深酒などは、胃の環境を悪化させてしまうのです。これは過剰に分泌された胃酸が胃の粘膜を荒しているのかもしれません。
そしてこのような時、症状が進めば胃酸が喉元まで逆流し、口元まで上ってきて、酸っぱさやのどの痛みを伴うこともあります。
また胃酸の逆流は、胃のもたれ、耳の痛み、カラ咳なども伴うことがあるのも一つの特徴です。
これは胃酸が上へと逆流する、逆流性食道炎の症状かもしれません。
2、逆流性食道炎
逆流性食道炎の特徴です。胸やけのほかに背中に痛みを感じたり、げっぷが出る場合です。
すると疑われるのは、食道の炎症なのです。食道の炎症は背中に痛みを起こすことが大いにあり得るのです。
人によっては背中に痛みを感じないこともあります。
そして胸やけの多くがこの逆流性胃腸炎によるものなのです。
多少でも胸やけや、げっぷに加え背中の痛みを感じた場合も、医師に受診することをおすすめします。
背中の痛みは他の病気であることも多いので、その原因を特定するためにも、受診されることが1番です。
3、妊娠中
つわりが落ち着く時期にも、胸やけが起こる場合もあります。
臨月ともなれば、胎児も成長しますし、それだけではなく、胎盤や、羊水も増加します。
それらによって、子宮が膨らみますから、胃腸が圧迫されてしまうことが原因の胸やけです。
匂いに敏感になったり、特定の食べ物を受け付けなくなったり、空腹時や、食後に胸やけを感じるなどが特徴の1つです。
ですがそれだけではなく、症状も様々なのです。
そういった子宮によって胃が圧迫されている状態の時は消化不良なども起こしやすくなり、食事にも注意が必要となってきます。
なるべく消化・吸収のよい食べ物がおすすめとなります。
おかゆやうどんなども望ましいでしょう。そして野菜なども生よりは、油を使わずに火を通したもの、煮たり蒸したりといった野菜を摂るようにしましょう。
酸味が欲しいと思っても、酢の物や柑橘系のフルーツなど、酸が強いものは避け、ヨーグルトにしたり、また甘みが欲しい時は、チョコレートではなく柑橘系ではないフルーツ、例えばバナナなど、そういったものを摂るのがおすすめです。
胸やけは空腹時に起こりやすいのです。
胃の中に何も入っていない時の胃酸が胃の粘膜を荒してしまうからです。
お腹が空いていても一気に食事をせず、ゆっくりと食べる、数回に分けて食べるなどもおすすめです。
4、胸やけとセットで便秘に!?
便秘の諸原因となるものは、胸やけの諸原因となるものと共通していることが多いのです。
ですから、胸やけを起こしやすい人は便秘にもなりやすく、便秘になりやすければ胸やけを患いやすいともいえるのです。
そういった方の食生活は「高たんぱく・高脂質」であることが多く、食物繊維の摂取が足りないなどが特徴として見られます。それは便秘につながりますが、胃酸の出やすい食生活とも言え、胸やけも起こしやすくなってしまうのです。
そういった方はファストフード控えめにして、和食中心の食生活に切り替えるといいでしょう。
また食物繊維も積極的に摂るようにしましょう。
そういった食物繊維の摂取は便秘だけでなく、胸やけにも効果的なのです。
ヨーグルトなどの乳酸菌の入った食べ物や飲み物を食生活に取り入れるのもおすすめです。
また便秘しがちな場合整腸剤として、ビール酵母やビオフェルミンを飲むのもいいでしょう。
キャベツやサツマイモなどにも食物繊維は豊富に含まれています。ガードルを身に着けるなど締め付けるようなインナーはおすすめできません。
お腹をしめつけないインナーを身に着けると胸やけにも便秘にも効果的です。
また早食いはしないで、ゆっくりと食事をするのもポイントです。
胸やけの注意事項!!
1、大きな病気が隠れている場合も!?
胸やけが様々気を付けてみも治らない、長期間長引くといった場合には注意が必要です。
大きな病気が隠れているケースもあるのです。
心臓病、ぜんそく、癌などです。ご自身でおかしいな?
と違和感を感じる場合も医師に受診することをおすすめします。
胃カメラ等で検査してもらい、適切な処置をしましょう。
2、胃薬
胸やけは確かに、胃の疾患でもあるのですが、安易に市販の胃薬を選んで飲んでしまっては危険が伴います。
胃薬には消化を助けるものが多数で、それらは胃酸の分泌を促してしまうのです。
それによってさらに胃の粘膜を傷つけ、荒れさせ、胸やけが悪化してしまうこともあります。
以下で胸やけに対する薬については触れますが、もし、市販薬でとりあえず胸やけを収めたいと思う場合でも、薬剤師さんなどに、詳しく症状を説明し、適切な薬を紹介してもらいましょう。
胸やけの応急処置
1、牛乳
胸やけが起きたとき、とりあえず牛乳を飲んでみてください。
それも冷蔵庫身から出してすぐのものではなく、マグカップに入れて20秒~30秒チンしたものです。
熱すぎても冷たすぎてもNGです。常温、体温に近い温度の牛乳を飲みましょう。とりあえず症状がおさまるはずです。
それで収まらない場合はもう一杯飲んでみてください。
牛乳には胃や食道を保護する役割と、食道へ逆流した胃酸を洗い流す作用があります。
言ってみれば「食道のうがい」です。
牛乳が飲めない、または受け付けないという場合は水でも効果はあります。その時も水を少々温めましょう。
とりあえず症状は治まっていくはずです。簡単で安上がりな方法でもあります。1度試してみてくださいね。
2、唾液を飲む
「すぐには牛乳も水も飲めないっ!」という環境で起こった胸やけ対策です。
それは唾液を自ら分泌させ、飲み込むというものです。唾液には消化を助ける、口臭を除去するといった万能薬のような効果があるのです。
なかなか唾液が口の中にたまらないという時は、内側の歯と、歯茎の間を下でなぞってみてください。
すると唾液がわいてくると思います。それをごくりと飲むだけです。
それと同じメカニズムで胸やけが起こるタイミングを自分自身でお分かりの方は、その間にガムをかむという手もあります。
ガムをかむことによって唾液を分泌させるのです。
また臨床的にも唾液は健康にも美容にもよいという報告が上がっています。
3、クッションや座布団を利用
クッションや座布団などを利用できる環境で胸やけが起こった場合、身体の後ろにクッションや座布団を置き、身体を20度から30度に倒し、もたれかかりましょう。
すると自然に食道まで上っていった胃酸が、胃に戻っていくのです。
リクライニングできるソファや座椅子を利用してもいいでしょう。そして目も休めましょう。
胸やけで下痢!?
1、胃酸過少 ―胃もたれ―
いままで見てきたのは胃酸過多の場合でした。けれどまれに胃酸過少でも胸やけは起こりうるのです。
そしてそうした胸やけは、下痢を引き起こすこともあります。
それを「胃酸過少症」と呼びます。または胃酸欠乏症、低酸症、無酸症と呼ばれることもあります。
この胃酸過少症と胸やけの関係を見ていきましょう。
2、胃酸過少症と胸やけのメカニズム
一般的な胸やけの原因は胃酸過多です。
ではなぜ、胃酸過少症においても胸やけは起こるのでしょうか。
胃液の中に混じる胃酸は、胃に入ってきた食物を消化させるという役割を持ちます。
それが過多になると胃粘膜を刺激して胸やけが起きるというメカニズムはご紹介しました。
そしてその胃酸が足りなくなれば、当然胃の中の食物を消化できないということになってしまいます。
そして前かがみになる等の、何らかの拍子に、胃の中の消化されていなかった食べ物が逆流し、胸やけが起きるのです。
3、下痢!?
胃酸の大事な役割の1つに、「殺菌をする」という役割があります。
口の中から入ってきた菌やウィルスも胃に到達すれば、その胃液によって殺菌されるのです。
ところが胃酸過少症となった場合、胃酸が足りない、ないため殺菌することができなくなってしまいます。
そしてその菌やウィルスが腸に到達すると下痢となってしまうのです。
なかなか自己判断は難しいのは、胃酸過少症の症状も胸やけ、胃もたれ、食欲不振と少々胃酸過多の胸やけとは違う感じが伴うことを感じることもあるでしょう。
また加齢によって胃が弱り、胃酸が出にくくなるということもあります。
4、胃酸過少症の原因
胃酸過少症の原因として最も考えられるのは「慢性胃炎」です。
この慢性胃炎によって、胃粘膜が委縮してしまうのです。
胃の構造として胃粘膜にある壁細胞が胃酸を分泌しています。
そのため、胃粘膜が委縮してしまえば壁細胞の数も減少してしまい、胃酸を分泌できなくなるのです。
さきにもあった通り加齢によって胃が弱るということも関係することも多いのです。
5、やっぱり薬にも注意!!
やはりこの場合も自己判断のみで胃薬を買い、服用することはNGです。
ご自身でも胃酸過多であるのか、胃酸が過少であるのか、なかなか容易に区別はつかないでしょう。
薬剤師さんに相談も1つの有効な手段ではあるものの、難しい点もあるので、やはり病院で検査を受けることをおすすめします。
胃液検査というものがあり、それによって胃酸過少は判明できます。
6、胃酸過少の治療
胃酸過少の治療は塩酸を補うことが中心となります。
それによって、消化酵素であるペプシンの働きを活発にする「塩酸リモナーデ」という薬の服用をします。
けれどやはり胃酸過少症もピロリ菌の影響を受けているケースが多いのです。その時はピロリ菌除去の治療を受けることになります。
胃酸過多と胃酸過少症の違い
胃酸過多と胃酸過少症の全く違うメカニズムはご案内しましたが、胃酸過多にみられる特徴と、胃酸過少症に見られる特徴として、その胸やけのタイミングに違いがあるということがあげられます。
空腹時に感じる、朝起きたときに感じる胸やけなら、胃酸過多の可能性が高く、食後2~3時間に感じる胃の中に何かが残った感じ、胃もたれ、胸やけは胃酸過少症によるものが多いのです。
自分の胸やけがどんなタイミングで起きるのかを把握することも、薬選びの際などにも大切になってきます。
また、胃酸過多の場合の症状は胸の灼熱感が多く、胃酸過少症の場合には特に胃もたれを感じるということも覚えておいてください。
胸やけの原因・胃食道逆流症の進行と治療
胸やけに多い原因、胃食道逆流症の引き起こす病気としてあるのが逆流性食道炎です。
先述した前かがみの姿勢や横になった時に起こる胸やけは、その原因としてやはり逆流性食道炎に罹患した状態で、その前かがみや横になるという姿勢をとることで胸やけが起きるのケースがほとんどなのです。
人間は通常なら逆立ちをしたとしても胃液・胃酸が逆流し、口まで下がってくることなどありませんよね。
それは胃食道逆流防止機構が健全に働いているからなのです。その機能は一般的に誰にでも備わっている機構です。
つまり胃酸過多になり、その胃酸が食道まであがってくるという症状は、逆流性食道炎に罹患し、胃食道逆流防止機構がうまく働いていない、という状態を指しているのです。
1、保存的治療
PPIが胃食道逆流症(GERD)にはよく使われます。
このPPIが第一の選択として採用されることが多い理由に、効果ももちろんですが、費用対効果にも優れていることからが大きいのです。
そしてこの胃食道逆流症(GERD)の原因になりやすい、たばこ、アルコール、チョコレート、脂肪分の多い食事、仰臥位、右側臥位などの生活習慣を中止することによって回復を図ります。
2、内視鏡治療
内視鏡による治療も増えつつありあます。
中には噴門部縫縮術(縫合法)、ラジオ波(焼灼法)、ゼリー注入法(局注法)などがあります。
海外の1部では行われている施術ですが、まだ日本においては確固とした評価が定まっていないことからも、これらの治療はあまり積極的に行われていません。
3、手術療法
この治療は最も積極的で、なかなか胸やけが治らない、吐いてしまいがちといった重症な方にも有効な施術です。
食道の下部の周囲に、胃底部を被覆する噴門部を形成するというものです。
すると、食道の周りに胃を襟巻状に巻くことになり、胃酸の食道への逆流を、物理的に不可能にしてしまうということになります。
最近では腹腔鏡視下のもと行われることが中心になってきつつあります。切開を大きくするということもなく、傷跡もほとんど目立ちません。
胃食道逆流症(GERD)は癌化する!?
欧米では食道線癌が多くなってきています。というのも長期にわたって胃食道逆流症(GERD)を患う場合、その炎症の影響とその炎症のバレット上皮が、再生上皮に変化しやすくなります。
するとその部分が癌化してしまうこともあるのです。
日本ではまだ頻度が少ないのは、食生活からきているとされていて、日本人の食事の欧米化に伴って、その食道の癌かも増えるのではないかという危惧もされています。
では、薬を飲む場合は?
さきで胸やけの原因となる恐ろしい病気についてもご案内しました。
けれどそれらの疾患も見当たらないのに、胃の上部の不快感を訴える人は増え続けています。
近年になって、それらの症状を「機能性胃腸症」と呼ぶようになってきました。特徴はこれといった疾患がないのにも関わらず、
- 胃の不快感が4週間以上続く
- 病院で検査を受けても特にこれといった器質性の障害が認められない
- 貧血も体重の減少もない
これらが当てはまる胃の上部の不快感を機能性胃腸症と呼ぶことが近年では多いのです。
そしてこれらは
-
胃もたれタイプ(胃の機能不全)
胃痛タイプ(胃酸過多からの潰瘍症状)
胸やけタイプ(胃酸の逆流)
といったタイプに分かれるのです。
では一体どのような薬を選べば解消されるの?とあなたも思ったかもしれません。
薬を選ぶ際、上記したどのタイプがご自身に当てはまり、どんな症状があるのかということに大きく関わってくるのです。
1、胃もたれタイプ
このタイプには胃の働きをアクティブにさせるために「消化管運動促進薬」が適しています。
これはまさに胸やけに伴い、胃もたれもあるという方、さきにチェックしたように、食後2~3時間に胃に何かが残っている感じといった胃もたれの症状の方に適しているのです。
これは食生活の乱れや加齢も原因となる、胃酸過少症から起きるものです。
そんなときに威力を発揮してくれるのが消化管運動促進薬なのです。
食べたものを速やかに消化してくれる力を発揮します。
2、胃痛タイプ
このタイプは胃酸の過剰分泌によって胃壁が荒らされている状態です。
このような場合、薬だけに頼らず、牛乳やチーズなど、乳製品を摂ることも併用しましょう。
そしてこのタイプに適した薬は「酸分泌抑制薬」、「H2ブロッカー」です。
これらは胃酸の分泌を正常化し、胃酸の抑制にも働いてくれます。
そのことにより、過剰に分泌される胃酸が正常化し、胃を荒さないよう導いてくれる薬でもあるのです。
3、胸やけタイプ
このタイプにもH2ブロッカーは効果的です。
また胃から食道へ過剰に分泌された胃酸を逆流することを防ぐ、「消化管運動促進剤」や「酸分泌抑制剤」が適しています。
胃痛タイプにも大いにいえることですが、やはり胃で過剰に分泌させる胃酸を抑えることが、この胸やけタイプにも適しています。
ただし、何回も繰り返すようですが、やはり自己判断での薬選びはおすすめできません。
というのも、以上からもお分かりのとおり、胃酸が不足、胃酸が過剰分泌といったように、胸やけ1つにも正反対な原因が考えられるからなのです。
薬剤師さんに詳しく症状を述べる、または受信するということがベストな解決法です。
H2ブロッカー
様々な胸やけの原因をあげてきましたが、やはり胃酸過多によって、その胃酸が何かのタイミングから、食道へと上ってくることが、多くの胸やけの原因です。
その時に大きな力を発揮してくれるのもH2ブロッカーなのです。
さきにもご案内した通り、H2ブロッカーは、胸やけの原因である強い胃酸の分泌を抑えるという作用があるのです。
H2ブロッカー配合の薬です。
- ファチモジン
- ラニチジン
- ニザチジン
- ロキサチジン
- シメチジン
などです。
市販薬でこのような薬を買うと、服用は1日に2回までとなっていて、胃酸の分泌が抑えられれば、自然食道に胃酸が上っていくということも少なくなります。
げっぷなどをしたときに感じるあの喉元の不快感も緩和されるでしょう。
小児が飲むことができる胃薬は?
服用に関しても気を付けたいことの中に、市販薬には小児が飲める薬は販売されていないという点です。
もし15歳以下のお子さんが胸やけに苦しむ場合は、速やかに受診されることをおすすめします。
小児が飲める薬は医療用のロキサチジンです。
医師に相談のうえ、処方してもらいましょう。
ニュータイプの胸やけ
最近になって、今までご紹介したような胸やけとその原因が当てはまらない新しいタイプの胸やけも報告されています。
ストレスとげっぷ
ニュータイプの胸やけはご紹介した胃酸が食道に逆流して起こる胸やけとはメカニズムが違うのです。
逆流性食道炎の際に唾液を飲むことが有効とお話ししましたが、ニュータイプの胸やけに、それは逆効果だと言われています。
げっぷなどの時にも起きやすい、げっぷに少量混じった胃酸によって胃に逆流して入ることがニュータイプの胸やけです。
ですから唾液を飲んで胃液を薄めて胃酸を薄め胸やけを緩和しようという行為によって、げっぷに含まれた空気が胃に送られてしまうことから、ニュータイプの胸やけには逆効果なのです。
どうしてげっぷで胸やけが起きるの?
1、それはストレスからです!
通常時のげっぷは含まれる胃液が少ないために、それが悪さをする、胸やけを引き起こすなどもなく、どうということでもないのです。
けれどストレスを感じている場合には、食道の上部に多い、TRPV1という異物センサーが、げっぷに混じる程度の胃液を感知してしまい、知覚過敏状態になってしまいます。それがニュータイプの胸やけの原因であり特徴なのです。
この胸やけはストレスによって過敏になったTRPV1という異物センサーが働き胸やけを起こします。
するとさらにストレスとなり、そのセンサーがまた過敏になって・・・という負のループを生んでしまうのです。
そのことからこのループを断ち切ることが、治療の主眼になります。
2、ニュータイプの胸やけの治療
ニュータイプの胸やけは特別なタイミングにかぎって起きることではないことや、胸やけの症状であるのに、市販薬の効き目を感じられない、内視鏡での検査をしても疾患が見つからないといった特徴があります。
そのようなニュータイプの治療に多く用いられるのは、食道の知覚を抑える食道粘膜保護薬や、ストレスを抑えるために抗うつ剤や、安定剤が処方される場合もあります。
このようにニュータイプの胸やけは、私たちが経験してきた胸やけのメカニズムとは違うとはいえ、ストレス社会の中で避けられない症状となる可能性も高いのです。
これからの胸やけの原因として、覚えておきましょう。
妊娠中の胸やけ対策
妊娠中は胸やけが起きやすいことと、そのメカニズムはお伝えしました。
けれどなかなか市販薬を手軽に飲むこともできないことから、対応が難しい面もあります。
けれど、妊娠中、胸やけが原因で吐いたりすることが多いと、お腹に負担がかかりやすくなることから、早産を引き起こすこともあるのです。
そして吐いてしまうことによる胎児への栄養面も心配です。
さきにも言いましたが、なるべく妊娠中はおかゆやうどんなど消化の良い食べ物を、ゆっくり食べるようにしましょう。
「いろいろ気を配ってみたけどやっぱり胸やけがする・・・」
という妊婦さんは、躊躇せず主治医に相談すれば、妊娠中でも飲めるお薬を処方してもらえます。
胸やけを起こさない生活習慣
1、よく噛んで食べる
これは胃を助けるためです。よく噛まれて胃の中にはいる食物は消化の助けになり、胃酸の過剰な分泌も抑えられます。
2、腹八分目
満腹になるほど食べたい食事ですが、それも気を付けてください。満腹は胃を刺激し、胃酸の分泌を活性化してしまいます。
3、刺激物
カフェインや香辛料は胃酸を分泌させ、胃壁を荒してしまうのです。胸やけが起こりやすい場合はコーヒーなども少々我慢しましょう。
4、食べてすぐ横になる
昔から「食べてすぐに横になると牛になる」などという言葉もあります。
これは確かに納得で、食べて30分以内は胃などが活発に働いている状態です。
さきにも言った通り、食後はクッションや座布団などを利用して身体を20~30度にして休憩しましょう。
5、胃を休める
暴飲暴食や、アルコールを摂りすぎたなと感じた場合、そのあとの一食を抜くのも効果的です。
胃が活動しない時間を作ることにより、胃酸の分泌も穏やかになるでしょう。
6、猫背にならない
姿勢が悪く、猫背になっているとどうしても腹圧がかかりやすくなり、それによって、逆流性食道炎になりやすくなります。
意識して時々身体を起こすなどして、腹圧をやわらげましょう。
7、お酒
お酒は胃の粘膜を傷つけてしまいがちです。
そしてさらに胃酸の分泌も促しますから、胸やけを起こしやすい環境を作ってしまうのです。晩酌の習慣がある方でも、休肝日を設けましょう。
8、ストレス
いままでもお伝えした通り、ストレスを感じると身体は攻撃態勢になることから、胃酸の分泌が盛んになってしまうのです。
そのうえ胃の機能は低下することからら、慢性的な胸やけを感じやすくなり、それは逆流性食道炎へのリスクが高まってしまうのです。
9、寝方
胸やけを防ぐ一つの手段に、身体の左側を下にして眠ることが効果的だとされています。
一般的な胸やけは胃酸の食道への逆流ですから、左側を下にして眠れば胃酸の逆流を防ぐことができるのです。
逆に右側を下に寝る癖がある方は胃酸が逆流しやすいと言えますから、意識して改善しましょう。
以上のような生活習慣を送る、もしくは今までの生活習慣を以上のような生活習慣に気を付けてみるというだけでも胸やけが劇的に軽減されると胃ことも多いのです。
カラオケで胸やけ改善
ドッグブレスで下部食道括約筋を鍛えましょう。
そこを鍛えることが逆流性食道炎の根本的な解決になることもあり得るのです。
ドッグブレスとはボイストレーニングの一環です。
「ON」とは…お腹に力を入れている状態を指します。
逆に「OFF」の状態は、お腹の力を抜いている状態を指し、全く力が入っていない状態です。
「ON」「OFF」は今後歌を歌う際に、抑揚にも深く関連してきますので非常に大切です。腹式呼吸を使って息を吐いたり吸ったりする運動を、スタッカートで行うことをドッグブレスと言います。
「ハッハッハッハッ…」と、まるで走り込んだ後の犬のような状態に近い音で息を吸う、吐く、を繰り返すのでドッグブレスという名称が付いています。
1秒弱の間に吸って吐いての動作を、1サイクルとして行います。
このサイクルを30秒ほど継続して練習して下さい。
このような発声方法、呼吸方法を身につると胃の筋肉も食道の筋肉も鍛えられることから、大変逆流性食道炎の胸やけに効果的なのです。
まとめ
- 胸やけとは?
- 胸やけのメカニズムを知る!
- 胸やけと胃もたれは全く違うメカニズム
- 胸やけの原因となりやすいこと
- 胸やけのさきにはこんな疾患も!
- 胸やけの応急処置を覚えておいて!!
- 胸やけで下痢が伴う場合は「胃もたれ」
- 胸やけを病院で治療しよう!
- 胸やけの癌化を防ごう!
- 薬選びは慎重に!
- ニュータイプの胸やけにはそれに合った対策と治療を!
- 胸やけを起こさない生活習慣を身に着けよう!
- カラオケで発声練習を行って、胸やけを予防しよう!
あなたはどんなことに思い当たったでしょうか。
1つだけではなく、複数思い当たることがあった方もいらっしゃるかもしれませんね。
胸やけは甘く考えて、長期間放置すると危険な症状に陥るかもしれないということもご案内した通りです。
いま胸やけに悩んでいるというあなたは、なんらかの対応策をとりましょう。
そして胸やけは予防できる疾患です。食生活をあらため、睡眠を十分とるだけでも改善が期待できます。
睡眠はストレスをため込まないためにも必須です。
胸やけに悩まされない、爽快な毎日をあなたも是非手に入れてくださいね!!