
朝起きたときや、シャンプーしたとき。ふと気づくとそこには抜け毛がある。
その量の多さに不安を感じる人も多いのではないでしょうか。
でも、どれぐらいの抜け毛は問題なくて、どれぐらいの抜け毛は異常なのか。
また抜け毛の原因や対処方法をどうしたらいいのか。
多くの人がわからないことでしょう。
ここでは、そんな抜け毛のメカニズムや原因、対処方法をご紹介します。
抜け毛はどれぐらいの量なら大丈夫?
通常、どんな人でも髪の毛は毎日抜けます。
そのため多少抜け毛があったとしても全く問題はありません。
では、どれぐらいの量までの抜け毛だと問題ないのでしょうか。
それを知るために、まず抜け毛のメカニズムから見ていきましょう。
抜け毛のメカニズム
通常、髪の毛は次の4つの期間のサイクルで生え変わります。
これは髪の毛だけでなく、体の他の毛でも同じことです。
- ①成長期 毛が成長する期間です
- ②退行期 毛が抜ける準備をする期間です。毛の成長もとまります。
- ③休止期 毛だけでなく毛の元である毛球が停止し、毛の抜ける準備が完了する期間です。
- ④脱毛(早)期 毛が抜け終わりし、次の毛の成長が始まる時期です。
体の毛はこの4つの期間のサイクルで生え変わります。
成長期から進行期、休止期と順に移行していき、また成長期に戻るサイクルを繰り返します。
これを「毛周期」ともいいます。
成長期に新しくできた毛が成長していき、退行期は毛の成長が衰え抜けやすい期間です。
髪の毛の根っこ部分であり毛母細胞を含む毛球部分が、少しずつに表皮にむかって動き出し、脱毛の準備を始めます。
休止期、脱毛早期で髪の毛が抜けていきます。
皮膚の下には、新しい毛が生まれています。
通常、毛が目に見えるのは、成長期と退行期だけです。
成長期と退行期に目に見える毛は40%程度といわれています。
半分以上は見えていません。
このサイクルは毛によって違うのですが、髪の毛は4~6年周期といわれています。
目に見えている髪の毛は40%で、それが抜けてもすぐに皮膚の下にある毛が生えるため、髪の毛は薄くなりません。
そして抜けるのが正常なのです。
1日でいちばん毛が抜けるのはシャンプーのとき
1日の中で抜け毛が一番多い時は、シャンプーやシャワーで髪の毛を洗うときです。
髪の毛を洗うときは、水やシャンプー、人の手などで髪の毛に負担を多くかけるので、髪の毛は抜けやすくなります。
しかしこれは問題ありません。
抜ける髪の毛は成長が止まったものいわば死んでいる髪の毛です。
髪の毛を洗わなくてもいずれは抜けてしまう毛になります。
寝ているときに抜け毛が多いと感じる人も多いでしょう。
これは、髪の毛を洗った時や、日中に抜けた髪の毛が、髪に絡んで残っておりそれが寝ている間にとれてしまうので、多く感じるだけなのです。
髪の毛を洗ったときにも抜けるので、前夜に髪の毛を洗っていないと、寝ているときに抜ける数はその分多くなります。
朝に髪の毛を洗う人は、朝起きたときに抜けている髪の毛の数は多くなりますね。
秋は抜け毛の季節
では1日の抜け毛の量はどれぐらいが正常なのかを見ていきましょう。
抜け毛の量は季節によっても変わるといわれています。
その中でもっとも多い季節は秋です。
それは次の2つの理由からです。
①成長するスピードの違い
髪の毛は季節によって成長するスピードが異なります。
通常、成長が始まるのは春です。
その後、夏にかけて髪の毛が成長するスピードが速くなり、真夏にピークを迎えます。
夏が過ぎ、秋になると成長するスピードは減速し、新しく生えてくる髪はすくなくなりどちらかというと抜け毛が目立ちます。
夏までは髪の毛がたくさん生えることが多く、秋に数年前に生えた髪の毛が寿命を迎え抜けていきます。
②夏の間の髪へのダメージの蓄積
夏は1年の中で一番髪にダメージを与える季節です。
暑さからくる大量の汗で毛穴のつまりを引き起こしたり、頭皮への紫外線ダメージも強かったりします。
屋内ではエアコンにより頭皮が乾燥しダメージを負います。
夏は、髪への直接的なもの以外からのダメージも多くあるといわれています。
夏ばてによる栄養不足や疲れ、ストレスによって頭皮に悪影響を与えます。
こういったダメージを夏に蓄積した結果、秋に大量に抜け毛が生じます。
このように髪の毛は秋に一番抜けますが、平均すると1日に50~100本程度、多い時では150本以上の髪の毛が抜けるといわれています。
1日にこれだけの抜け毛があるので、例えば20~30本の抜け毛を目にしたとしても全く問題ありません。
1日に50~100本程度、多い時では150本以上の髪の毛が抜けるので、それ以上に抜け毛が多くなると、通常でない可能性があります。
しかし1日にどれだけ髪の毛が抜けているのかを数えるのは困難です。
そのため、抜け毛が異常でないかどうかで判断します。
抜け毛のチェックポイント
抜け毛が異常かどうかのチェックポイントには、次のようなものがあります。
①抜け毛の質
抜け毛の質を見ることで、正常に休止期や脱毛期に抜けた毛なのか、そうでないのかを
判断することができます。
- ・はさみで切っていないのに毛先が細かったり、成長する前の短い毛が多い
- ・産毛が多い
- ・抜け毛の根が細い、またはごみが多い
こういった場合は異常な抜け毛の可能性があります。
毛先が細かったり短かったりする場合は、何らかの理由で成長しきる前に抜けています。
産毛もそうです。
この場合は脱毛症の疑いがあります。
抜け毛の根が細い、またはごみが多い場合は、頭皮にダメージがたまっています。
脱毛症までは進行していないケースがほとんどですが、脱毛症につながる可能性があるので注意しましょう。
抜け毛の根が丸く毛根が綺麗な形で、ある程度の長さのある抜け毛の場合は、正常といえます。
②抜け毛の量の急激な変化
抜け毛の量を正確に数えることはできませんが、急激に抜け毛が増えたということはわかる可能性があります。
髪の毛を洗ったときや、枕元の抜け毛が多いと感じたら身体や心のバランスが崩れている可能性もあります。
抜け毛が多いと感じたときは、髪の毛を洗うときの抜け毛の量を測ってみるのも良いでしょう。
髪の毛を洗うときの抜け毛の量は1日の抜け毛の半分以上、多い時で70%を占めているといわれています。
髪の毛を洗う前に抜け毛がないことを確認し、洗ったあとの抜け毛の量を数えてみましょう。
1日の平均の抜け毛が50~100本程度、多い時では150本~200本までなので、多くても
200本×70%=140本以上抜けていると、異常な数になっている可能性があります。
抜け毛の原因と防止の方法
いままで抜け毛について見てきました。
正常な場合でも1日に100本程度は髪の毛が抜けます。
しかし、その量が異常な場合は何かしらの原因があります。
ここからは、その原因について見ていきましょう。
ホルモンバランスの乱れ
女性の場合は特に多いですが、ホルモンのバランスが乱れると抜け毛が多くなります。
実は、年をとって髪の毛が抜けていくのもホルモンバランスの乱れです。
年をとると、女性ホルモンの量が減少していきます。
女性ホルモンには髪の毛の成長を促す物質が含まれていますので、それが減少すると髪の毛が痩せ抜けてしまいます。
ただし、これは誰にも起こることなので異常とはいえません。
女性の場合は出産後にホルモンのバランスが乱れることがあります。
出産前後で女性ホルモンも数が急激に変動することがあり、それがホルモンバランスを乱し抜け毛が多くなります。
通常は産後しばらくすると抜け毛の量は減ってきます。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れは頭皮や髪に影響を与えます。
食生活や睡眠時間に気をつける必要があります。
食生活は脂っこいものやこってりしたものは控えましょう。
ファーストフードやスナック菓子などの大量摂取も要注意です。
睡眠時間の不足や喫煙は血行を悪くし、髪に影響を与えます。
無理なダイエットや逆に運動不足も血行を悪くするため、適度な運動をこころがけましょう。
睡眠は、眠り初めから4時間後をゴールデンタイムといい、体に良い効果をもたらすことが知られています。
これは髪の毛でも同じです。
そのため最低でも4時間以上、7時間程度は睡眠するようにしたほうが良いでしょう。
ストレス
ストレスにも注意が必要です。
ストレスがたまるとホルモンバランスを乱したり、自律神経のバランスを崩したりします。
ホルモンや自律神経乱れると、髪や頭皮に十分な栄養がいきわたらなくなり、血行が悪くなるため抜け毛の原因になります。
栄養不足
髪は栄養が不足すると痩せて抜けやすくなります。
そのため栄養をしっかりとるようにしましょう。髪に良いといわれているのは、次の成分です。
- ビタミンB レバーや卵、昆布やのりなど
- タンパク質 納豆や卵、牛肉など
- 亜鉛 レバーや卵、しいたけ、牡蠣など
- 鉄分 レバーやひじき、魚など
- ビオチン レバー、あさり、卵など
できるだけ食事でとり、不足したらサプリメントを利用するようにしましょう。
頭皮へのダメージ
髪を染めるまたは強いパーマを当てることは、少なからず頭皮に直接的なダメージを与えます。
必要以上に髪の毛を染めたり、パーマをあてたりすることは避けた方が良いでしょう。
また、夏の紫外線も頭皮に直接的なダメージを与えます。
外出するときは、帽子などで紫外線を防ぐ対策をしましょう。
ただし帽子をかぶりすぎて、ムレがおこると逆効果になります。
できるだけ蒸れにくい帽子をかぶるようにしましょう。
髪や頭皮の汚れ
髪や頭皮の汚れも、髪や頭皮のダメージにつながり抜け毛の原因となります。
そのためには、適切なシャンプーを使い、髪の毛を正しく洗う必要があります。
<髪の毛の正しい洗い方>
・指の腹で洗う
髪の毛を洗うときは指の腹で洗うようにしましょう。
爪をたてすぎると、頭皮をひっかいてダメージをあたえてしまいます。
指の腹でやさしく洗うが基本です。
・ぬるま湯で洗う
髪の毛はあまり熱いお湯で洗ってはいけません。
あまり気づくことはありませんが、頭皮は敏感なので40℃以上のお湯だと、軽いやけど状態になることがあります。
できれば38℃程度のぬるま湯で洗うようにしましょう。
・シャンプーは手で泡立てる
シャンプーを頭に直接つけることは避けましょう。
髪の毛につくシャンプーにムラができ、汚れがきちんととれない場合があります。
シャンプーは手で泡立ててからムラにならないように、髪全体に広がるようにしましょう。
・きちんと洗い流す
シャンプーが髪に残ってしまうと、今度はそれが汚れとなり毛穴に詰まります。
逆効果となってしまうので、シャンプーはきちんと洗い流すようにしましょう。
・シャンプーは1日1回
髪の毛は適切なシャンプーを使い正しく洗う必要がありますが、シャンプーのしすぎは頭皮を必要以上に乾燥させたり、必要以上に皮脂を分泌してしまう可能性があります。
シャンプーは1日に1回までとしましょう。
もしも髪の毛が気持ち悪くもう1回洗いたい場合は、ぬるま湯で洗い流す程度にしましょう。
シャンプーにもいろいろな種類があります。
頭皮の状況に応じたシャンプーを使う必要があります。
主なシャンプーの種類は以下のとおりです。
シャンプーの種類>
・アルコール系シャンプー
薬局やコンビニエンスストアなどで市販されているシャンプーは、ほとんどがこのアルコール系シャンプーです。
汚れをとる力が強く、髪の毛や頭皮を清潔に保つことができます。
名前のとおり、成分としてアルコールが含まれています。
肌あれなどがでた場合は違う種類のシャンプーを使ったほうが良いでしょう。
・石鹸系シャンプー
石鹸系シャンプーとは、脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムを使用しているシャンプーのことをいいます。
天然素材で作られており、安全志向や自然派の人に好まれて使われます。
アルカリ性で洗浄力は高いです。
これはアルコール系シャンプーにも言えますが、皮脂を取りすぎる傾向にあるので、つけすぎには注意しましょう。
・アミノ酸系シャンプー
アミノ酸系シャンプーはアルコールの含有量が少ないシャンプーです。
美容室などでよく使われています。
比較的新しいシャンプーで、洗浄力はアルコール系シャンプーや石鹸系シャンプーよりも低いですが、皮脂を取りすぎることはなくお肌にやさしいシャンプーです。
それぞれに適性があり、アルコール系シャンプーは肌に強い人向きで、肌の弱い人には向きません。
石鹸系シャンプーは肌に強い人や、髪や頭皮の汚れをしっかりとりたい人向きですが、肌の弱い人や髪の毛が痛みやすい人には向きません。
アミノ酸系シャンプーは肌のデリケートな人や髪の毛が傷みやすい人向けですが、頭皮をしっかり洗いたい人には向きません。
自分に合ったシャンプーを選ぶようにしましょう。
育毛剤や専門の病院も選択肢の1つ
今まで、抜け毛のメカニズムや原因、対処方法を見てきました。
日常生活の改善や髪の毛のケアなどを行うことで、抜け毛が少なくしたり予防したりすることができます。
まずは日頃のケアが大切ですが、それでも効果がでないときは育毛剤の使用や抜け毛専門の病院の利用も考えましょう。
頭皮の問題から皮膚科で対処できるかも…と思う人もいるかもしれませんが、頭皮に炎症などが見られない場合、皮膚科では抜け毛の原因はわからない可能性があります。
「脱毛症科」など、専門の治療科がある病院を訪ねましょう。
育毛剤は髪の毛を育てるのに効果がありますし、専門の病院はその人に合ったアドバイスや治療を行ってくれます。
抜け毛の原因や対処方法まとめ
今回は、抜け毛のメカニズムや原因、対処方法をご紹介しました。
抜け毛の原因や対処方法を知る前に、抜け毛のことを理解する必要があります。
それは次の3つです。
- 1.抜け毛のメカニズム
- 2.1日の抜け毛の量
- 3.抜け毛が異常かどうかのチェックポイント
上記3つのことを理解したら、次はいよいよ抜け毛の原因とその対処方法です。
具体的には次の6つの方法です。
- ホルモンバランスの乱れ
- 生活習慣の乱れ
- ストレス
- 栄養不足
- 頭皮へのダメージ
- 髪や頭皮の汚れ
髪や頭皮の汚れを取るためには、正しい髪の毛の洗い方と自分に合ったシャンプーの選び方が重要です。
髪の正しい洗い方には次のようなものがあります。
- ・指の腹で洗う
- ・ぬるま湯で洗う
- ・シャンプーは手で泡立てる
- ・きちんと洗い流す
- ・シャンプーは1日1回
またシャンプーは主に次の3種類があります。
- ・アルコール系シャンプー
- ・石鹸系シャンプー
- ・アミノ酸系シャンプー
それぞれに特徴があります。自分にあったシャンプーを選びましょう。
上記のとおり、日常生活の改善や髪の毛・頭皮のケアが大切ですが、それでも効果がでないときは育毛剤の使用や専門の病院の利用も考えましょう。
育毛剤は髪の成長を助けますし、専門医は、あなたにあったアドバイスをしてくれることでしょう。