
自分自身ではなかなか気づかない口臭。
それゆえに、他人の口臭に反応したときに「もしかして自分も…」と思ってしまう人は多いのではないでしょうか。
もし自分の口臭が少しでも気になったら、まずは現状を把握し、その口臭が発生する原因や対処方法を考えましょう。
ここでは、そんな口臭の原因や種類、対処方法をご紹介します。
口臭チェックの方法
自分自身で口臭に気づくのは、なかなか難しいものです。
まずは、自分に口臭があるのかどうか確認することから始めましょう。
ポリ袋を使う方法
一番簡単な方法です。ポリ袋を2つ用意します。
1つは空気を入れ、もう1つは30秒ほど自分の息を吹き込みます。
このとき空気が入らないように気をつけましょう。
息を吹き込んだら、すぐに両方のにおいを確認します。
ほとんど変わりなければ口臭はありません。
デンタルフロスを使う方法
歯と歯の間にデンタルフロスを通します。
通したらデンタルフロスにプラーク(歯垢)が付くので、その匂いを嗅ぎます。
悪臭があれば、口臭がある可能性があります。
家庭用の口臭チェッカーを使う方法
口臭チェッカーとは、口臭を測定する器具です。
器具といっても高いものではなく、2,000円程度で手に入るものもたくさんあります。
1回だけ計測するのではなく、日をずらして何回か計測してください。
何度も口臭が検出されれば、口臭があると考えられます。
口臭の原因と対策方法
口臭があると確認できたら、今度は口臭の原因を特定し対策をします。
口臭の原因はいくつかありますので、見ていきましょう。
臭いのキツイ食事
忘年会や新年会、または普段の食事でもニンニクやニラ、アルコールの入ったお酒など、臭いのキツイ食事をすると、一時的に口臭が発生します。
ニンニクやニラには、強い臭いのもととなる成分が含まれています。
その成分はまず、胃で消化された後、血液に含まれ体中をめぐり、最終的には汗や息として体の外に排出されます。
この場合の口臭は一時的なものでしだいになくなりますが、完全にニオイがなくなるまでは16時間以上かかるといわれています。
食事の後に人と会う予定がある場合などは、なるべく臭いのキツイ食事は控えるようにしましょう。
臭いのキツイ食事は、血液の中に臭いの成分が含まれてしまいます。
そのため、臭いを消すのは難しいです。
逆に言うと、臭いの成分が身体に吸収される前にその成分を弱くすることができれば、口臭の対策になります。
臭いの成分を弱くする代表的な成分は、ポリフェノールや葉緑素、カテキンです。
ポリフェノールはリンゴやウーロン茶に多く含まれています。
葉緑素とカテキンは、緑茶に含まれています。
ニンニクなどの臭いのキツイ食事をするときには、一緒にウーロン茶や緑茶を飲んだり、りんごを食べたりします。
臭いの成分が身体に吸収される前にその成分を弱めることができ、口臭を発生させるのを防いだり、和らげたりする効果が期待できます。
また、血液中に含まれた臭いの成分は、汗や尿などの水分と一緒に排出されます。
そのため水分をたくさんとって尿を出したり、お風呂に入って汗をたくさん出したりすると、臭いの成分が体内から排出されやすくなります。
お風呂に入って汗を出す場合は、脱水症状にならないよう水分補給を十分に行いましょう。
緊張やストレス
実はどんな人でも口臭は発生します。
ただ普段は唾液に抗菌作用があるため口臭がおさえられています。
緊張やストレスを感じたときは唾液の分泌が抑えられ、口の中が乾いてネバネバした状態になります。
唾液の分泌量が減ると、その分抗菌作用も減るので口臭を発生しやすくなります。
こうした誰にでも起きうる口臭のことを「生理的口臭」といいます。
いちばんの対策は緊張をほぐしたり、ストレスを感じないことです。
肩の力を抜いたり、深呼吸をしたりしてみましょう。
しかし、大事な会議など重要な場面で緊張をほぐしたり、ストレスを感じなくするのは難しいことも多いでしょう。
そこで、口の中の渇きをなくす方法で口臭を防ぎます。
例えば、水やお茶を飲んで口の中の渇きをなくしましょう。
これだけでもだいぶ変わってきます。
また、口の中に刺激を与えると唾液が分泌されやすくなります。
ガムなどを噛むことで、口の中に刺激を与え唾液の量を多くすれば、口臭を和らげてくれます。
爪の生え際を軽くもむというのも1つの手です。
そこには副交感神経を刺激するツボがあり、ツボを押すとストレスが軽減されるといわれています。
舌を左右に動かしても唾液が分泌されやすくなります。
会議などの重要な場面で試してみてください。
起床時のバクテリア増加
朝目覚めたときに、口の中が臭いと感じる人も多いのではないでしょうか。
これは、口の中にあるバクテリアが原因です。
普段は唾液の殺菌効果でバクテリアの発生がある程度抑えられています。
寝ているときは唾液の分泌量が減るので、バクテリアが増殖します。
このバクテリアと肺から送られてくる臭いが混ざり合うと、口臭が発生してしまいます。
これも「生理的口臭」の1つです。
起床時の口臭を防ぐための方法は、寝る前の歯磨きです。
歯磨きをすると口の中のバクテリアを抑える効果があります。
また、歯磨き粉の中には口臭予防の成分が含まれているものもあります。
どうしても起床時の口臭を防ぎたい場合は試してみてはいかがでしょうか。
起床時の口臭は、朝起きて歯を磨けば、多くの場合治ります。
また口の中の洗浄や消毒を目的とした洗口剤もあります。
こちらを使っても、口の中のバクテリアを抑えることができます。
ダイエットなどでの空腹
ダイエットやごはんが遅れたときなどの、空腹も口臭の原因となります。
それは、消化液が出すぎるためです。
空腹時に膵液(すいえき)と呼ばれる消化液が分解されると、ガスが発生します。
それがお腹から口に上がってきて、口臭の原因となります。
また、食事を取らないと唾液の分泌量も低下し、口臭が発生することもあります。
空腹時の口臭のいちばんの対処方法は、なんといっても食事です。
忙しかったり、ダイエットをしていたりするときも、簡単なものでいいので、食事を摂るようにしましょう。
どうしても食事がとれず、人と会わなければいけない場合は、マウスウォッシュなどで一時的な口臭対策をしましょう。
歯周病
歯周病などの口内の異常も口臭の原因となります。
歯周ポケットに歯周病のもととなる細菌がひそんでいます。
その細菌が食べかすなどに含まれるタンパク質を分解し、口臭を発生させます。
歯周病を予防するために、歯磨きなどでプラークをこまめに除去する必要があります。
特に歯と歯茎の境目の部分を、柔らかい歯ブラシを使って磨きましょう。
歯周病になった場合は出来るだけ早く、歯医者などの医療機関で診察、治療を行いましょう。
虫歯
虫歯も口内の異常の1つです。
虫歯が進行して空いた穴に食べかすなどが詰まり、細菌がその食べかすなどに含まれるタンパク質を分解し、口臭を発生させます。
こちらも歯周病と同じく、虫歯にならないことが先決です。
毎日の歯磨きなどできちんと虫歯予防をしましょう。
万一虫歯になった場合は出来るだけ早く、歯医者などの医療機関で診察、治療を行いましょう。
親知らず(おやしらず)
あまり知られてはいませんが、親知らずの周りも細菌がたまりやすく口臭の原因になります。
親知らずも歯磨きで食べかすをとり、細菌をたまりにくくすることが重要です。
しかし、親知らずは横や斜めになっていることも多く、歯磨きが十分できない場合があります。
できるなら抜歯したほうが良いでしょう。
胃など消化器官の異常
口臭の原因は口の中だけにあるのではありません。
胃の調子が悪いなどの、消化器官の異常が原因になることも多いです。
その中でもやはり、胃の状態の悪化によるものが一番多いでしょう。
胃の状態の悪化は、通常、食べ過ぎや飲みすぎ、ストレスや体調不良によって発生するといわれています。
胃の消化機能が低下すると、食べ物がきちんと消化できず、それが悪臭の原因になります。
その悪臭が口まで上がってきて口臭になります。
卵や肉が腐ったような口臭の場合は、消化器官の異常の可能性が高いです。
また便秘により便が体内のとどまりすぎると、ガスがたまりそれが口臭の原因となることがあります。
消化器官の異常は、主に食べ過ぎや飲みすぎ、ストレスや体調不良によって発生します。
そのため食生活を改善したり、規則正しい生活を送り体調を整えたりすることが肝心です。
またストレスを溜め過ぎないように気を付けるようにしましょう。
便秘の場合は食物繊維を含んだ野菜や果物などを多く摂取し、適度な運動をすることである程度解消することができるでしょう。
舌の汚れ
こちらもあまり知られていませんが、舌の汚れも口臭の原因になります。
まず確認してほしいのが、舌の表面です。
舌の表面に白い苔のようなものが生えたようになっていたら、それは舌苔(ぜったい)と呼ばれる細菌です。
これは食べかすが舌に残り、細菌になったものです。口呼吸などで口の中が乾燥したり、口の中の出血が原因で起こるとも考えられています。
舌の汚れを取る方法として一般的なものは、舌ブラシです。
1日1回でいいので、舌ブラシで舌をきれいにすると、効果がでるといわれています。
歯ブラシで舌を磨くのはやめましょう。
舌は繊細にできているので、歯ブラシで磨くと逆に血がでて、口臭の元になる場合があります。
舌ブラシを使うときは、まず舌苔が付着している箇所を確認しましょう。
これは必要以上に舌に刺激を与えないためです。
舌を痛めないように、舌苔が付着している箇所をやさしく手前に引くように磨きましょう。
その他の病気
口臭は、今まで見てきた以外のさまざま病気が原因で発生することがあります。
①呼吸器の病気
気管や肺に病気がある場合は口臭の原因になります。
そのときは卵や肉の腐ったようなにおいがします。
②耳・鼻・のどの病気
耳・鼻・のどに病気がある場合も卵や肉の腐ったようなにおいがします。
③肝機能や腎機能の病気
肝機能に障害がある場合はアンモニアに似た臭いがします。
腎機能の場合はアンモニアに似た臭いのほかに、魚の腐ったような臭いがするときもあります。
④糖尿病
糖尿病の場合はリンゴの腐ったようなにおいがします。
もし、上記のような口臭がある場合は、重大な病気が潜んでいる可能性もあると考えてください。
早急に医療機関で診察、治療することが必要です。
緊急時の口臭対策
今まで口臭の原因や対処方法を見てきました。
対処方法としては普段から予防に努めることが大事です。
しかし、大切な会議やデートなどで、口臭対策に急を要することもあるでしょう。
ここではそんなときの対策をご紹介します。
どれもコンビニエンスストアやドラグストアなどで簡単に手に入るものばかりです。
ウーロン茶
先ほども登場しましたが、ウーロン茶にはポリフェノールという臭いの成分を弱くする代表的な成分が含まれています。
また、カテキンなど殺菌作用がある成分も含まれているので、臭いのキツイ食事の最中や後に飲むようにしましょう。
中には身体に脂肪をつきにくくさせる成分を含んだものもありますよ。
サプリメント
サプリメントも口臭対策の代表的なものです。
サプリメント自体の良い香りで、口臭を消すものもあれば、腸に届いて臭いを抑えるものもあります。
ガム
ガムも良い香りで口臭を消してくれます。
今は歯の再石灰化を促すキシリトールの成分が入っているものも多くあるので、口の中全体の清潔感を保つこともできます。
マウスウォッシュ
いわゆる洗口剤です。
口の中の洗浄や消毒を目的としています。
洗浄成分が口の中の汚れを浮かせて、洗い流します。
臭いのもとも吸着し除去します。
マウスウォッシュ自体に良い香りがついているものも多くあります。
口内用ウェットシート
口の中をきれいにすることができるウェットシートです。
歯や唇など、口の中の汚れた部分をふきとることができます。
これから人と会う場合など、エチケットとして1つは持っておきたいですね。
口臭外来のある病院で専門医の判断を仰ぐ
自己流でいろいろやってみたけれど、上手くいかないという人には口臭治療を専門にしている口臭外来をお勧めします。
総合病院に開設されていたり、町の歯科にあるほか、単独のクリニックとして開業しているところもあります。
口臭の原因を詳しく探り、その人に会った治療が行われます。
注意しなければならないのは、保険診療の適応外ということ。
すべて自己負担になるので、情報収集が必要です。
口臭の原因や種類、対処方法まとめ
今回は、口臭の原因や種類、対処方法をご紹介しました。
まず、自分に口臭があるかどうかのチェックをする必要があります。
その方法は次の3つです。
- チェック方法1:ポリ袋を使う方法
- チェック方法2:デンタルフロスを使う方法
- チェック方法3:家庭用の口臭測定器を使う方法
上記のチェック方法で、口臭があると判断したら、今度は口臭の原因を特定し対処します。
具体的には次の10の方法です。
- 1.臭いのキツイ食事
- 2.緊張やストレス
- 3.起床時のバクテリア増加
- 4.ダイエットなどでの空腹
- 5.歯周病
- 6.虫歯
- 7.親知らず
- 8.消化器官の異常
- 9.舌の汚れ
- 10.その他の病気
口臭を防ぐためには、普段から予防に努めることが大事です。
しかし口臭対策に急を要することもあるでしょう。
そんなときには、簡単に手に入る次の5つのもので、一時的な対策を取りましょう。
- ・ウーロン茶
- ・タブレット
- ・ガム
- ・マウスウォッシュ
- ・口内用ウェットシート
ウーロン茶やタブレットなどで一時的な口臭対策ができても、それはその場しのぎのもので根本的な対策にはなりません。
この記事を参考に、自分自身の口臭が発生する原因を見つけて正しい対処をするか、口臭外来に相談してみてください。